【基本不要】民間保険は公的保険適用外のものに対する最終手段

支出の洗練
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近年、大手保険会社の初任給引き上げのニュースを耳にするたびに「儲かってるんだなぁ」と感じます。

つまり、必ずしも入る必要のない保険に加入し、毎月キャッシュアウトが発生している加入者が増加傾向ということになります。

もちろん、保険会社はビジネスとして保険事業をしているわけですし、実際に保険に入っていたおかげで破産せずに済んだ加入者が一定数いますので、これ自体は至極真っ当なビジネスだと思います。

ただ、日本においては国民皆保険制度により、公的保険でも十分な補償が受けられます。そんなもしものための補償を享受するために毎年安くはない保険料を既に納めている中で、入る必要のある民間保険はそう多くないと思います。

タイトルと前置きでほぼ意見を言ったようなものですが、今回は民間保険に加入すべきかどうかについてお話していきます。

※民間保険そのものを批判する趣旨の記事ではありません。

保険会社の利益は「保険料収入-保険金+運用収益」

そもそも保険会社のビジネスモデルってなんでしょう?

個人的には、簡単に言えば保険は宝くじのようなものだと思っています。

保険料という宝くじの売り上げの一部が、保険金として一定の条件を満たした加入者(=当選者)に払い戻され、保険料収入と支払った保険金の差額が保険会社(胴元)の利益となるわけですね。

さらに、この差額の現金はもう会社の純資産になるわけですから、資産運用へ回し、さらなる運用収益を得ることができます。

加入には一定の条件がある

では、補償が受けられる可能性が高いのであれば加入するのはOKなのでは?と考えることができますが、机上の空論なんですよね。

なぜなら、もしそんな保険が存在するならば保険料収入よりも保険金の支払いが多くなり、会社としては赤字になりかねません。

そのため、保険会社は加入に対して一定の条件を設け、さらに補償内容を見直すことで「保険料収入-保険金」が常に黒字になるよう商品が調整されるわけですね。

必ず増えて戻ってくる学資保険は?

では、学資保険はどうでしょう。

一例として、明治安田生命の学資保険を見てみます。

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0歳のお子様がいるときに加入し、21年満期。加入時に保険料を一括で支払うことで、受け取り時は最大で127.4%戻ってくるそうです。

保険料の上限まではわかりませんが、仮に加入時に1000万円を一括で支払った場合は21年後に1274万円と、+274万円となって戻ってくる計算です。

こちらは確定で払い戻されるので、加入する価値があるようにも思えます。

ですが、ここで考えたいのは、その1000万円は保険会社を通さずとも自身で資産運用することでより大きなリターンを高確率で見込める点です。

上記の学資保険の場合は、21年満期で利回り27.4%年率1.16%のリターンになります。さらに、途中解約する場合は元本割れする可能性が多いため、実質的な資金ロックとなります。加えて、大学入学時などの一時金として保険の一部を払い戻してもらった場合は利回りが低下します。

一方で、2025年4月現在の日本国債20年の利回りは年率2.244%です。これを20年間複利運用すると1000万円が1593万円にまで増えます。

(20年もので高利率のものとなると、個人向け国債ではなく利付国債のため、いつでも買えるわけではありませんが、大体月1で募集をかけているようです。詳しくは財務省の入札カレンダーをご覧ください。)

入札カレンダー : 財務省
入札カレンダー

何より民間の保険会社と国の破綻リスクで言うと圧倒的に国の方が安全確実ですから、総利回りの観点でも償還リスクの観点でも、学資保険に頼るよりは長期国債で運用した方がまだマシというのが私の考えです。

基本的に貯蓄型の保険全般に言えることですが、保険会社を通して運用するよりは、自分自身で国債なり全世界株式などの投資信託なりで運用するほうが良いです。

基本的には公的保険で十分(※例外アリ)

そもそも社会保険などの公的保険で多くのものをカバーできているんですよね。

  • 医療保険
  • 年金保険
  • 労働保険

医療保険では、病院で受診するときの窓口負担は3割で済みますし、万が一手術や入院が必要になった場合で100万円が必要になった場合でも10万円程度の自己負担で済むので、追加の医療保険は基本的には不要です。また、子供が生まれれば出産育児一時金も貰えます。

年金保険では、厚生年金や国民年金で老後の収入はある程度保証されていますので、わざわざ貯蓄型の保険を活用せずとも余剰資金があれば自分で運用すれば良いです。

労働保険では、会社を辞めたり、育休中などの無職期間中でも一定期間は収入が保証されていますし、仕事絡みのケガには労災が下ります。

こんな感じで毎年・毎月払っている健康保険や厚生年金(個人事業主の場合は国民健康保険や国民年金)と雇用保険によって既に万が一の場合の補償は受けられるようになっているため、基本的には民間の保険は不要というのが私の持論です。

公的保険でカバーできないもの

とはいえ、一部例外はあります。

例えば火災保険ですね。こればかりは公的保険で補償されないので民間のものに加入すべきですが、補償内容はどれも大差はないので、安いものであれば何でも良いと思います。

あとは生命保険と自動車保険くらいでしょうか。

一馬力で家族を養っている大黒柱が急死してしまえば、家計は一気に苦しくなりますし、車でどなたかをケガさせてしまえば慰謝料はとんでもない額になり得ますからね。

ということで、民間の保険で入っても良いのは以下の3つくらいかなと思います。

  • 生命保険(遺族が金銭的に困ってしまう場合)
  • 火災保険
  • 自動車保険(車持ちの場合)

いずれも毎月の保険料は安いものにするのが基本になってくると思います。

まとめ

保険はいわば宝くじのようなものです。そして、保険会社のビジネスモデル的に多くの加入者は金銭的に損をしたり、思っているよりも補償が薄いものが多いです。

そのため、もし民間保険に加入する場合は「万が一起こってしまった場合の損失がとんでもないもの」かつ「公的保険でカバーできないもの」に厳選して毎月のキャッシュアウトができる限り少ないものを選ぶのが良いと思います。

脳死で保険貧乏にならず、余剰資金は投資に回し、着実に資産を増やしていきたいですね。

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